よく登山では、綿製品やヒートテックは向いていないとか言われますね。
綿製品は、水分蒸発の際の気化熱云々で危険というのは理解できるのですが、ヒートテックも…
「本当かな?」「根拠はあるのかな?」と…
ヒートテックを着た方は実感していると思いますが、薄い割に本当に温かい^^
世の中から「ババシャツ」を追放したぐらいですからね!
どらは山登りの先輩方の意見やメーカーの発信を聞いても、
「一度考えてみる」「調べて見る」という好奇心旺盛な性格です。
ということで、ヒートテックの原理・性能・素材について調べてみました。
結論は? 簡単に言うと、
登る山の状況やリスクに対するTPOの使い分けだなぁ~と確信しました。
ちなみにどらは、ユニクロの回し者ではありませんよ^^;
そもそも否定する根拠は?
要は、以下の根拠なんですね。
① 登山は大量の汗をかく
② 綿製品などの植物素材は保湿性が高く、すぐに蒸発しない
③ 体が冷えてきた際に、その水分が蒸発するときに気化熱が奪われる
④ よって、低体温症などのリスクが増大する
う~ん… 何か違和感が…
確かに綿素材は納得できるのですが、ヒートテックも?
そもそもヒートテックは、
体から放出される水分によって発熱効果を生むんじゃなかったっけ?
それなのに低体温症?
熱が発生する仕組みは?
まずはヒートテックが熱を発生する仕組みを考えてみましょう。
熱を発生させるには、何らかのエネルギーが必要です。
実はヒートテックに限らず、すべての繊維は熱を発生させる機能を持っています。
ただそれが、効率的か非効率的かだけの違いだそうです。
絶えず体から出る水蒸気の持つ運動エネルギーが繊維に衝突し、液体へ変換。
この時に熱エネルギーが発生します(気化熱と反対の吸着熱といいます)
つまり肌側では発熱を、その中間で保温と断熱を、外側では気化熱の発散となります。
発熱量と気化熱の発散量は原則イコールです(タイムラグはありますが)
それが温かく感じるように、バランスよく配置した繊維構造というわけです。
絵にすると、こんな感じです。
要は、肌に近いところで効率的に発熱するので温かいというわけです。
ただし、構造的に暖かくする機能になっているので、
ヒートテックの重ね着では、暖かくなる効果は薄いですよ。
ミドルウエアやアウターの防風防寒機能で対応しましょうね^^
ヒートテックの長所と欠点
長所
液化する層に植物素材のレーヨンを使っています。
レーヨンは水分保有率がコットンより高く、素早く熱を発生させることができます。
要は、すぐに暖かくなるということです。
レーヨンの欠点は、水分の蒸発が遅いことです。
そのため中間層の化学繊維層に、中空糸や星形の糸を使い、空気層を増やしています。
これにより毛細管現象により、水分を蒸発しやすくしています。
さらに空気層が多いので、熱は通しにくいという保温にすぐれた構造です。
二重三重の繊維構造が単一繊維より効率的に配置されているので、
同じ性能を発揮するのに軽量化・軽薄化が可能となります。
欠点
ポイントは発熱のためにレーヨンを使うことです。
レーヨンの欠点は、ウールに比べて乾きにくい点です。
そのため、発汗が多すぎる状態では水分保有が飽和状態になりやすい。
結果、発熱できないということが起きます。
実は、この長所と欠点を理解していると、冬山登山での使い方が見えてきます。
そもそも冬の登山に向いているの?
実は、向いているともいえるし、向いていないとも言えますね^^;
結論を述べると、以下の使い方が適切だと思います。
●大汗をかくような厳しい冬山
登りでは使わないほうがいいでしょう。
すぐに水分飽和状態になり、機能が発揮できません。
休憩中に着替えて、下りでは使うのがいいかも…
といっても、一度裸にならないといけないのですよね^^;
●ハイキングレベルの冬山
問題なく機能を発揮します。
ただし大汗かきの方は注意を…
●泊まりの冬山
日中は登山用のアンダーを着て行動し、寝るときに着替えを…
テント泊のような寒い夜を乗り越えるには、かかせない一品となります^^b
長期縦走の際の社会復帰用にも転用できますよ。
なんといっても、ポイントは軽量で嵩張らないこと!
そして低価格!
アンダーは消耗品という特性があるので、うまく使いたいものです。
ヒートテック類似機能商品
ヒートテックと類似構造の商品が各社から出されていますので、紹介します。
それぞれに一長一短がありますので、自分に合った商品を見つけてください。
●ヒートテック(ユニクロ)●ブレスサーモ(ミズノ)
●ピースフィット(イオン)
●ボディヒーター(イトーヨーカ堂)
●ジオライン(モンベル)
最後に
日本人最年少で世界7大陸最高峰登頂を達成した南山真鈴(みなみやまりん)さん
をユニクロはサポートしていますね。
なんでもユニクロ装備でエベレストに登ったとか^^
裏話ですがヒートテックの長所を生かし欠点を補うために、
ミレーのアンダーと組み合わせたそうです。
まあ、プロは究極を求めますからね^^;
(おしまい)