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2017年11月23日

姫次に散った一輪の花 折花姫

戦国時代の武田家滅亡の周辺には、たくさんの哀しい話が残っています。
以前の松姫の記事(松姫峠 哀しき戦国のラブストリー)と同時期のお話ですが、折花姫の言い伝えが残っています。
姫次(ひめつぎ・ひめつぐ)という地名は、折花姫がその場所で自害(喉を突いた)したことが由来だそうです。
他にも周辺には哀しい由来の地名が残っていますよ。
話は、武田家滅亡の引き金となった小山田信茂の居城「岩殿山城」から始まります。
岩殿山は、JR大月駅の北側にそびえる山ですね。

岩殿山落城
織田・徳川連合軍が攻める中、小山田信茂は土壇場で武田を裏切ります。
松姫逃避行のお話はそこから始まりましたが、折花姫のお話は少し後のお話です。
その後小山田信茂はその手柄を持って、織田信長に許しを申し出ますが、
信長はこれを許さず、信茂を処刑します。
やはり土壇場での裏切りは、許さなかったようです。
許した例もあるのですがネ…(朝倉景鏡
信茂処刑の報を受けた岩殿山城は、大騒ぎに陥ります。
信茂の一族小山田行村は、一族を引き連れて逃走します。
折花姫は、その行村の愛娘です。美しいと評判でした。
まあ大体、悲劇のヒロインは美しいものですネ^^;

父親の最後
織田軍の追手から逃れるために、北条家の所領の奥津久井方向へ向かいました。
しかし追手の足は早く、逃げ切れないと悟った行村は、折花姫を姥と翁に託します。
そして、行村は娘を逃がすべく、敵を引き寄せます。
しかし多勢に無勢、最早ここまでと壮絶な討死を演じます。
父親への思いを振り切り、折花姫一行は奥津久井の山中を逃げるのでした。

姥と翁の最後
一行は、とうとう追手の織田軍に捕捉されそうになります。
意を決した姥は姫の身代わりになるべく、着物を羽織って敵陣に飛び込みました。
現在、姥の亡くなった場所には、ババァ宮が建てられています。
渓谷の吊り橋まで逃げた折花姫と翁ですが、ついに追いつかれました。
追手の火縄銃が発砲され、その一発が翁の背中に命中!
翁は刀を片手に奮戦しますが、すぐに打ち取られてしまいました。
現在、その場所には、ジジィ宮が建てられています。

折花姫の最後
折花姫は必死に逃げましたが、そこは女性の足…
ついに追手に囲まれてしまいました。
敵の手に落ちるぐらいならと、覚悟を決めました。
父親から贈られた懐刀を取り出すや、喉に突き刺したのでした。
折花姫が亡くなった場所には、折花神社が建てられています。

地名に残る折花姫伝承
袖平山の東に姫次というピークがあります。
折花姫が喉を突いたことから、姫が突く→「姫次」となったとのことです。
また折花神社のそばの橋は、「折花橋」といいます。
彼女が念仏を唱えながら逃走した山道は、「阿弥陀申し」と名づけられました。
悲しい戦国時代のお話でした。

(おしまい)