人間って基本的に「自分にとって都合の悪い選択を無視する」傾向があります。
これを正常性バイアスといいます。
実は危機管理の世界では、これが致命傷になるんだよね。
ここ10年ぐらいを見ても、これが原因のいろんな事故が起こっています。
東日本大震災では、
東京電力は「津波の想定において最悪の潮位基準を無視した」
高齢者の自動車事故の頻発も同じ心理状態が原因です。
「自分はベテランの運転手だから大丈夫」ってね。
アウトドア事故でも、同じようなケースがありました。
13人が死亡した西丹沢の玄倉川水難事故(1999年8月)では、
再三の撤退勧告に対してキャンプ続行を選択。
・せっかく来た楽しいキャンプを中止するという都合の悪い選択を無視する
高校生8人が死亡した那須の雪崩事故(2017年3月)もありましたね。
雪崩が発生する積雪量があったにもかかわらず、危険な場所で計画を続行。
旅館に待機中の責任者は無線をつけておらず、現場からのSOS無線に対応できず。
・計画を中止、あるいは変更するという都合の悪い選択を無視する
・責任者は無線を持っておくという面倒な選択を無視する
奥多摩の三頭山でも13人の雪山遭難事故(2018年3月)がありました。
・駅で注意喚起されたにもかかわらず、自分たちは大丈夫と無視する
自分に置き換えて考えてみても(ちゃんと反省していますからね)、
こんなヒヤリハットの経験(正常性バイアスの事例)がありました。
・通行止めのトラバースで、崖側の底が抜けて滑落しかけた(奥多摩金剛の滝)
・積雪の沢コースで、アイゼンを装着せず5mほど滑落した(倉岳山月尾根)
※ヒヤリハットについては「登山とハインリッヒの法則」という記事あり。
陽性率推移のグラフ化
データ元: 東京都公式発表数値(2020/12/17現在)
陽性率の算出計算式:
データ元: 東京都公式発表数値(2020/12/17現在)
陽性率の算出計算式:
判明数(PCR・抗原)移動平均/検査人数(=陽性判明数(PCR・抗原)+陰性判明数(PCR・抗原))移動平均
※PCR検査の日にちのずれにより、陽性率の数値は時々修正されることがあります
※PCR検査の日にちのずれにより、陽性率の数値は時々修正されることがあります
コロナ禍の現在でも、あっちこっちで、この正常性バイアスが働いています。
政府:Goto停止の決断をなかなかできず、医療関係者の危機発言を無視する
若者:自分たちは大丈夫と、夜の飲み会中止を無視する
もちろん全部がそうだと言いませんが、相当数の人が該当するかな?
お店:経済的事情優先で、再三の自粛要請を無視する
国や自治体の援助額ではやっていけないという事情は理解できますが、
特措法の足かせ(強制力・支援がうたわれていない)の犠牲者かな?
ちゃんと守っているお店もあるんだけど、背に腹は代えられない…
その特措法の改正をようやく来年の通常国会で議論するとのこと。
そもそも特措法の問題点は、春の頃から指摘されていたんだけど…
正直、遅いなぁ~と呆れています。
これでは法律の施行は、来年の4月頃になるのかな?
ふと、こんなことわざが浮かびました。
泥棒を捕らえて縄を綯う
臭いものに蓋をする
言い過ぎ?かなぁ…
さて峠の涼風では、5回連続、計画を中止しています。
再開は、1月17日(日)の要害山(相模原)の予定。
コロナの上昇周期は、いままでは3週間位となっています。
そこからいくと、次のピークは12月28日ごろになるんですが、問題はそのあと。
さて、どうなることか…
(おしまい)