エレベストに女性として世界で初めて登頂した登山家です。
標題の映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」を観ました。
吉永小百合さんが主演です。
ちなみに観客は、ほぼ女性ばかり。
年齢層も高めでした(苦笑)
観客の雰囲気も、山登りが趣味の人が多かったような…
峠の涼風の女性陣の雰囲気と、似通ったものを感じました。
思い込みかもしれませんが(苦笑)
「人生8合目からが面白い」
モデルとなった田部井淳子さんの名言です。
その言葉を地で行くような田部井さんの半生でした。
病気と闘いながらの8合目でした。
エベレスト女性初登頂自体が、まだ8合目だったのかも知れません。
映画は目頭が熱くなる場面多発、周りでは鼻をすする音も…
不思議なのは、それらのシーンは決して悲しい場面ではなかったこと。
共通しているのは「次の一歩」を感じさせる場面でした。
ちなみに映画のテーマは家族愛と人生への向き合い方かな?
演技面では、
吉永小百合さんは言うまでもなく、出演者の方々の演技力が高い。
その中でも夫役の佐藤浩市さんの演技には惹かれましたね。
静かな、ひたすら静かな受け身型の演技がすごい。
セリフにならない演技力というか…
この味は、役者さんも年齢を重ねないと出ないでしょうね。
どらの場合は、ちょうど8合目ぐらいで「峠の涼風」を立ち上げました。
最近は足腰の衰えを感じていますが「ここからが面白いんだ」と頑張らないとね。
どこまで行けるかわからないけど、計画を立てていこうと(改めて決意!)
とりあえず、原案となった田部井さんの著書「人生、山あり“時々”谷あり」を
買って読んでみようかなと…
あらすじ
ネタバレになるので概略だけ紹介。
最初はエベレスト帰国後の華やかな記者会見の場面。
それと対比するように、病院で余命宣告(3ヶ月)される場面へ。
演出うまいなぁ~と。
回想シーンではエレベスト女性初登頂や谷川岳での夫との出会い。
嫉妬ややっかみで次々と離れて行く登山仲間たちとの軋轢。
「世界の田部井淳子」の息子と見られることへの息子さんの反発。
そして再発する癌。
それでも淡々と登山を続ける主人公。
余命3ヶ月後を一生懸命に生きる、いや、登り続ける4年間でした。
彼女が始めた東日本大震災の「東北の高校生の富士登山」プロジェクトは、
2025年現在も続いています。
息子さんの田部井進也さんが引き継いでいますね。
ストーリー展開は、ゆっくりと静かに進んでいきます。
最近の映画に慣れた人には物足りないかも…
ただ登山をする人には根底で通じるものがあると思います。
ほんわか~とした場面①
息子さんに「だから周りから人がいなくる」と厳しい言葉を投げかけられる。
彼は父親にも「親父だって、親指の怪我がなければ自分だって登れたと思ってるはずだ」と。
父親は「これぽっちも思っていない!」と全否定。
この場面の伏線回収がありました。
第5回富士登山プロジェクトで「私はここ(7合目)までかな?」と腰を下ろす妻に、コーヒーを渡しながら、夫が息子に言われた言葉を話しだす。
「実は、あのとき少しは思っていたと」
「少しだけ?」と笑顔で返す妻。
ほんわか~しているなぁ。
ほんわか~とした場面②
手術明けの翌日にリハビリに励む主人公。
見舞いに来た息子さんが驚いています(この時は関係修復済)
医者が「ゆっくりでいいよ、ゆっくりで」
彼女は言います。「ゆっくり歩くのは得意です」と。
彼女の名言に「一歩、一歩、前へ」というのもありますしね。
手術後の夫との登山中の一言でした。
エベレスト登頂という偉業を成し遂げた彼女ですが、その言葉は平凡です。
全然かっこよくないんだけど、それがいいんだよなぁ~
ほんわか~とした場面③
新聞記者の友人とテント泊の場面です。
余命宣告された田部井さんが、友人に五つ星に行こうと誘うのですが…
行った先は山の中でのテント泊であきれる友人(笑)
仰向けに寝て外に顔だけを出す二人。
ぽつんと「五つ星より満天星」と。
これも彼女の名言のひとつです。
母親の愛を感じさせる場面
5回目の富士登山プロジェクト、彼女の最後の登山です。
引率している高校生の一人が手袋を失くしました。
リーダーの息子さんが高校生に自分の手袋を渡します。
その後、7合目で待機することになった彼女が、息子の手を見て「手袋は?」
そして自分の手袋を渡して、そっと両手で彼の手を包みます。
その瞬間、どらは涙腺が(こういうのに弱い…)
彼女の人生の最後のピークは、この時だったのかな…と思う。
そういえば峠の涼風の温故知山でも紹介しています。
他の登山家の名言とともに紹介しましたので参考に。
最後に、どらも11月に72歳となりました。
体もあっちこっちにガタが来はじめているような気がします。
でもこの映画で、少し勇気をもらいました(まだ感動の余韻が残っている)
治療を薦める医者とのやり取りの中でもありました。
「病気になっても病人にはなりたくない」
やっぱりいいなぁ…
(おしまい)
