桃太郎伝説の周辺には、他に三つの伝説があります。
計四つの伝説になるのですが、さすがに全部を取り込むのはやり過ぎかな?
ということで、断捨離しようと三つの伝説に絞り込みました。
捨てたのは、陰陽師「安倍晴明」の伝説。
実は岩殿山の北側にセイメイバン(晴明盤)という珍名の山があります。
この地で雨乞いをしていた晴明が鬼に邪魔をされて亡くなったという話が…
セイメイバンは、峠の涼風でも2018年7月に計画しました。
ちなみに採用の二つの伝説はネタバレになるので、小説の中で…ね。
第一章 桃太郎は九鬼山を目指す
あなたについて 何処までも
家来になって 行きましょう
そりゃ進め そりゃ進め
一度に攻めて 攻めやぶり
つぶしてしまえ 鬼が島
(2)誤りの鬼退治
「見つかったか?」
太郎の父親が戻ってきた猿橋の村人に声をかけた。
静かに首を横に振る村人。
「本当にあいつら、どこへ行ったんだ」
ふと西の岩山が目に入る。
夕陽に照らされた岩壁が、あざやかな朱色に染まっていた。
別の村人が走ってきた。
「里の子供が、三人が岩殿山の方向へ歩いていくのを見た」という。
「なんだと!」
まさかとは思ったが、赤鬼の所か。
朱色の岩壁は色を徐々に落としつつ、不吉な影を延ばし始めていた。
まるで鬼の角が黒く伸びてこちらに向かってくるようだ。